独立、開業して間もない時期は苦戦する方も多い、仕訳作業。
会社員の時は、主に経理担当者が行っていた仕訳も、経理を雇うまでは自分で行わなければいけません。
僕のような学生時代に会計や簿記などを学習していない人にとっては初めて聞く言葉ばかりで、頭を抱える問題の1つでした(現在ではもう慣れたものです)
これはどう仕訳したらよいか、どの勘定科目にいれるべきかと迷ったり、わからず一旦放置してしまうと、経費計上の作業も止まり、後々の確定申告の際に、そのしわ寄せが・・・(あるある)
今回は個人事業主(フリーランス含む)の経費計上の際によく使う仕訳とは何か、そして仕訳時に振り分ける「事業主貸」「事業主借」とその違いについて解説していきます。
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仕訳とは
そもそも仕訳(しわけ)とは、会社や個人事業主が簿記上の取引内容を借方、貸方の2つに振り分けて、それぞれに勘定科目と金額を記載する作業を指します。
確定申告書類や貸借対照表や損益計算書などいわゆる決算書類の作成には欠かせないものです。
この仕訳が正しくできていないと個人事業主が行う確定申告が正しく行われない原因となりますので、基本的なルールを含めてしっかりと覚えておきましょう。
仕訳の基本的なルール
基本的に、会社にお金が入れば借方、お金が出ていったら貸方です。
また、借方は左側に、貸方は右側に記載します。
勘定科目は5つのグループに分けられており、グループごとにお金の増減を借方と貸方に振り分けるルールがあります。
5つのグループとそれらの仕訳ルールを以下の表にまとめましたのでご確認ください。
勘定科目グループ | 借方 | 貸方 |
資産 | 増加 | 減少 |
負債 | 減少 | 増加 |
収益 | 減少 | 増加 |
費用 | 増加 | 減少 |
純資産 | 減少 | 増加 |
※勘定科目やグループに関しては別記事にて詳しく解説します。
まずは、上記ルールを覚えておきましょう。
次に、仕訳する際に常に関わる事業主貸、事業主借について解説します。
事業主貸とは
法人の場合、事業=法人、経営者=個人とわかりやすいですが、個人事業主の場合、事業=個人、経営者=個人と区別がつかず、ややこしいですね。
実際に個人事業主の場合、事業のお金と家計のお金を完全に区別することは難しい状態です。
事業=あなた、個人=あなたではありますが、ポイントはあくまでも事業側の目線で考えることです。
事業主貸は、考え方として事業(主)が得た収益から本人であるあなたの生活費を賄った形になります。
例えば、あなたの生活費として10万円を事業の普通預金に預けているお金からあなたの生活費を賄った場合は次の様に仕訳します。
借方 | 貸方 |
事業主貸 | 普通預金100,000 |
あなたの生活費は経費に該当しないため、こうしてあなたの生活費としての消費と事業としての経費を仕分けすることになります。
事務所を別に構えておらず、自宅兼事務所として活動しているフリーランス(個人事業主)の方は、家賃や水道光熱費などをこの事業主貸を使って「事業用(仕事用)と自宅用とて分けて」計上していきます。
ちなみにこれは個人事業主の場合に用いる用語で、法人の場合は用いません。
よく使う仕訳としていくつか例を挙げてみましょう。
事業主のお金を使ってあなたがプライベートな食事で1万円使った場合の仕訳
あなたが事業に関係なく、プライベートで友人などと食事に行って1万円使った場合は、以下の様に仕分けします。
事業主があなたであっても、事業としての関係がない場合は個人で使ったこととなります。
事業主があなたのプライベートの食事代を賄った状態となります。
借方 | 貸方 |
事業主貸 10,000 | 普通預金 10,000 |
事業の口座のお金で事務所兼自宅の家賃を支払った時の仕訳と勘定科目
フリーランスの方はこのケースが多いのではないでしょうか。別に事務所を構えておらず、自宅兼事務所として利用している方は必ずこの仕訳が必要になってきます。
自宅を事務所として使用しているので、家賃の全額を事業の経費として使用したいと思いがちですが、実際自宅としても生活しているため、家賃全額を経費として使用することはできません。
例えば、自宅のスペースの3分の1の面積で仕事をしていて、家賃が月に10万円としたら、事業での家賃:自宅としての家賃を3:7で振り分けます。
事業主が家賃の3割を経費(地代家賃)として、支払い、残りの7割分の家賃を事業主があなたに賄った状態です。
この場合の仕訳例としては以下となります。
借方 | 貸方 |
地代家賃 30,000 事業主貸70,000 | 普通預金 100,000円 |
事業のお金で社会保険を支払った場合の仕訳と勘定項目
個人事業主の社会保険は経費で計上することができませんので、この場合、事業のお金を使って、個人であるあなたの社会保険料を使う為に、事業用口座から引き落とした形になります。
仮にあなたの社会保険料が3万円だった場合の仕訳例は以下となります。
借方 | 貸方 |
事業主貸 30,000円 | 普通預金 30,000円 |
こうしてみると、どこまでが事業の経費として、どこからが個人の消費としてカウントするかが不安になってくると思いますが、勘定項目の使い方については後述しますので、まずはこの「事業主貸」についてしっかり理解しておきましょう。
事業主借とは
一方、事業主借とはあなたのお金を使って事業の経費を支払った場合や、あなたのお金を事業の口座に移した場合などに用いる項目です。
考え方として、事業に関わる経費をあなたのポケットマネーから立て替えた状態です。(事業主があなたに借りたから事業主借)
事業主借を使うケースをいくつか例に挙げてみましょう。
あなたのお金を使って事業で使う備品1万円を購入した場合の仕訳と勘定項目
例えば、あなたのお金を使って事業で使うために、プリンターのインクや用紙、文房具などを買った場合。
以下の様に、備品を消耗品費とし事業主があなたのお金を借りて、使った形になります。
借方 | 貸方 |
消耗品費 10,000円 | 普通預金 100,000円 |
あなた個人の銀行口座から事業用の口座にお金を移した場合の仕訳
事業の口座で何か引き落としがあり、残高が足りないためにあなた個人の銀行口座から事業用の口座にお金を移した場合などは以下の様な仕訳になります。
借方 | 貸方 |
普通預金 100,000 | 事業主借 100,000 |
理解しておかないと確定申告時に特に困る仕訳
仕訳とは何か、そして事業主貸、事業主借の違いや区別は理解できましたか?
まずは個人事業主として独立した、フリーランスとして働くといった「会社員の時とは異なる自由」を手に入れた半面、あなた自身で事業を経営しなければいけませんので、今回のような経理、会計などの知識も少なからず必要になります。
個人事業主の場合、一般的に確定申告もあなた自身で行うことになります。
事業としてのお金の出入りを正確に示し、確定申告時もスムーズになるように、仕訳や事業主貸、事業主借の違いはこれを機にしっかりと理解しておきましょう。
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